ゆっくり早く

ロクロの技は、早いほうがいい。
と思っています。
回しながらモタモタいじっていると、
粘土の中にどんどん水が入り込んで、
粘土が柔らかくなってしまうからなんですね。
柔らかくなると、せっかく立ち上がった粘土がダラリと下に戻ってしまう。
戻ってしまった土は、もう上にはあがりませんので、
成型分に取った粘土玉の中で、
カタチにならない土、つまりロスになってしまうのです。
ただ、早くあげたいからといって、
ロクロを早く回してグイグイあげてしまうと、
ノタ目(指のあと)が尖ったり、
器の肌がのっぺりと寝てしまい、
「硬い器」になってしまう。
そういう表情が欲しい時はいいのですけれど。
ゆっくり回して、しっかり手の中に土を掴みつつ、
ドベ(潤滑泥)を切らさないように、
「するする」と、掌から粘土が捻り出てくるようにゆったり挽くと、
ほっこりと土のツブが立った器になるわけです。
えー、つまりですね。
早いということは、分かりやすくスゴイんですけど、
ゆっくりのほうが難しいんですよ。
ゆっくりとモタモタは似ていますけど、
中身に理解が入っているかいないかという
けっこう大きな違いがあるわけで、
傍目にわかりづらくてややこしい。
つまり、ロクロの技は早いほどいいけど、
速さを追求すると、傍目にゆっくりになってくるのが面白いな。
と思うわけです。
う~ん、マニアックな上に分かりづらい。
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