トンカツは素晴らしい。
お手ごろな値段で、食卓を豪華に飾ることが出来るからだ。
ただし、スーパーの惣菜トンカツはちとキビシイ。
確かに楽で簡単で美味しいのだが、なにしろ高額い。
1枚400円弱。
二人なら二枚。
すなわち800円弱。
レジにおいて7セグ数字を急激に上昇させる
『跳ね上げモノ』もしくは『桁上げモノ』に分類される存在となり、
口にするのにもそれなりの覚悟が必要となってくる。
それだけに、
近所のスーパーが月に数度の「お肉の日」であり、
なおかつ「トンカツ、ソテー用豚ヒレ肉一枚98円ないし100円」
と書かれたポップを見ると、
激しい動悸とともにそれまで腹案されていた夕餉のメニューが、
「トンカツ」の4文字に塗り替えられてしまうのはいたし方のないところと言える。
トンカツは素晴らしい。
意外なほどにお手軽な調理方法で完成するからだ。
肉を軽く包丁で叩いて、塩コショウをまぶして寝かせておき、
小麦粉を付着し卵を塗布させ、
パン粉を散布せしめたのち加熱した油に沈殿させるのみである。
添え物の千切りキャベツにいたっては、
洗って切るだけだという。
それでいて食卓に喝采が沸き起こる。
手間としてもコストパフォーマンスに優れた一品といえる。
しかし、熱した油は火災やヤケドなどのリスクも大きい。
その辺はご注意いただきたい。
トンカツは素晴らしい。
彩りが映える。
朴念としたキャベツの山中腹にトンカツの殿堂。
キャベツの大自然と、人工トンカツの融合美。
一幅の風景画のようである。
トンカツは素晴らしい。
私はこれからもトンカツの魅力を追及し、
トンカツ道を極むるべく精進する所存である。