ボーイ・ミーツ・スーツ【その3】
なにやら店員さんの話では、
最近のスーツにおける流行りのカタチは、
全体に細身であらゆる部位の丈が短いものなのだそうだ。
勧められるまま実際に着てみたところ、
確かにワキの締まり方はスッキリしていてカッコイイ。
…がしかし、
ソデやスソが妙に短いのがどうにも気になる。
パッツンパッツンのツンツルテン感が拭えない。
(飽くまでも個人的感想ですが。)
この足りない生地を、「流行り」という言葉で無理やり覆っているような感じさえする。
そもそも流行りというものは、
多くが消費を促進させるために、
誰かが作為的に立てた波風ではないのだろうか…
などとポツポツ思っていたところに、兄の一言。
「コレ、流行が終わったら着れねえだろ。」
ああ、なるほど。
それなんだ。
我が意を得たり。
にいちゃん、さすが。
しかしいつも不思議なのは、
兄はこうやって一見傍若無人な放言を連発するのに、
なぜか年下に慕われ、年長者に可愛がられる。
不思議な人徳の持ち主である。
店員さんは戸惑っていたが。
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