ボーイ・ミーツ・スーツ【その2】
特にスーツなど、
世間に浸透しきっていて、
その知識は一般常識としてとらえられているものなどに、
後から参入しようというのは意外に困難が付きまとう。
それは、
「なにが分からないのかが分からない。」
という取っ掛かりの壁である。
「今さら聞けない」
類の事項とも言える。
知識というものは力であり、武器である。
「知らない、知らなかった」
で済まされるのはよくて未成年までであり、
大人の「知らなかった」は、すなわち本人の過失に他ならない。
だから、スーツなどの大人の持ち物には、
懇切丁寧な説明など添えられていないのがほとんどなのだ。
服屋さんなどにおいて、
店員あしらいが何よりもニガテという理由はそこにある。
服飾に関する関心が薄く、
知識に乏しい自分では、
知識、技術に特化したプロに太刀打ちできないことが容易に予想できる。
丸腰マルハダカで甲冑に大小を下げた武士につかみかかるようなものだ。
いいようにナマス斬りの憂き目に遭うだろう。
というわけで、
兄という名の用心棒に同行をお願いしたわけだが、
「何が分からないのか分からない。」
という相手にはさすがの用心棒もアキレ顔を禁じえなかったらしい。
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