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2005年12月

不協和音

E0871

屈強なマネキンと、
和やかな「どんぶく(綿入れ)」。

この相容れない二つが奏でる不協和音は、
見るものの精神に言いようの無い不安感と違和感、
ついでに妙な侘び寂びをにじませしめた。

明らかに、ウケ狙いとしか思えない。
 
 
 
※この記事は2005年度のストック残り記事です。
一月くらい前に描いてから、他の記事に押されてズルズルとここまで来てしまい、結局こんなカタチで出すことに…。

本日、大晦日。
平成十七年度最後の記事は、後ほどあげます。

とりあえず、掃除だけしてしまわないと…。
では後ほど~。

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平成十七年度「言戯」納め

E0895

平成十七年も今日が最後ですね。

皆様にとってはどんな一年でしたか?

私も今年、色々ありましたが、
終わってみればとっても良い一年でした。

なかでも、
このサイトを通して、
皆様とツナガリをもてたことが、
大変有意義かつ、貴重なことだったと思います。

まあ、一番は相方ちゃんと一緒にいられたことなのですがね。
そこはすんません。

さて、無事にノロケ納めも済んだところで、
そろそろ今年の記事描き納めとしたいと思います。

なお、来年の更新は元旦の0時1分となっております。
ってハヤーーーーー!!!!

休みナシ!!?

まあ、初売りは仙台名物ですから…。

今年一年、大変お世話になりました。
来年も、よろしくお願いいたします。

では皆様、
良い年越しを~!

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ハシャぐ男

E0894

腕時計というものを着けたのは高校の時以来。

いや~。
手首を見れば時間が分かるというのは、
実に便利なものですね。

再発見でした。

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兄と相方と私

E0888

あれはもう、「聞き流した」なんてレベルじゃない。

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過剰演出…?

E0880

東京からの電話ということもあり、
あまり待たせちゃイカンと急いだのは当然なのだけれど、
日頃の運動不足がたたってか、すぐさまあがる息に、
必要以上の

「急ぎました感」

が出てしまった模様。

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クリスマスの黒い魔女

E0892

「財布にしようか、名刺入れにしようか、腕時計にしようか迷ったんだけど、一番必要そうだったのがコレだったから。」

と、相方がくれた包みの中には腕時計があった。
 
「うっほおおおおお!!!」

思わず、意味不明の咆哮で胸いっぱいの歓喜を吐き出す私。
 
 
 
腕時計。
ホントのホントに、
まさしく今、一番欲しかった(必要だった)モノ。

なにしろ携帯電話を持っていないので、
街などではいつも時間が分からず、
どうしても時間が知りたい時には、
いちいち最寄のコンビニなどに立ち寄って、
壁掛けの時計を見ていたのである。

だんだんとそういう困った機会が増えてきたため、

(そろそろ腕時計を買わなきゃなあ…)

と思い、それとなく物色を開始した矢先の出来事だった。

しかも、自分で探してもなかなか無かった
「ちょうどいい」腕時計。

スッキリシンプルデザインで、実用性に優れた一品。
私の好みど真ん中。

自分の中のアンバランスな欠けに、
あつらえたようなピースを用意されたような充足感。
安堵感まで感じるほどのプレゼントだった。
 
 
 
それにしても驚きなのは、
その選択の適切さ。

もともと私はモノをほとんど買わないほうなので、

「●●が欲しい。」

という話は滅多にしないはずなのに、
数少ない情報と、怜悧な観察により最高の選択を導き出した相方のプレゼントは、私の目には魔法のように映って仕方がなかった。
 
 
 
私のクリスマスには、
赤いサンタではなく、
黒い魔女がやってくる。

ありったけの感謝を捧げたい12月25日。

E08922

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昇格プレゼント

E0891_2

指輪のサイズというものは非常に難しくて、
発注の際、ショップに問い合わせたところ、
0から30くらいまで号数(サイズ)があるらしいのですね。

うかつにも相方の指のサイズを知らなかった私は、
時節柄バレバレになることを恐れて訊くわけにもいかず、
さんざん困った末、お姉様(長女)にご相談申し上げた。

お姉様の持っている指輪を見せてもらい、
そこから相方のサイズを割り出そうという作戦である。

大体、平均の見当をつけたら、
あとは

「5本も指があれば、どれかにはハマっぺ!」

という無粋かつ野暮ったい開き直りで発注を敢行した。
 
 
 
 
その結果は、上記イラストの通り。
人差し指にはピッタリだったらしいのだが、
クスリ指にはほんの少し大きかった。

「ありゃ!ほしたら、人差し指にしといて。」

と提案したところ、

「やだ!クスリ指にする!サイズ直ししてもらってもいいし、ピッタリの指輪でフタしてもいいし!」

頑としてくすり指にこだわる相方。

(な~んでそこまでこだわるんだ?)

と思って後ほど調べてみたところ、
なるほど、薬指にはめる指輪には大切な意味があるらしい。
 
 
 
私は感激しましたね。

職人さんが作ったステキな銀のワッカは、
私の手に渡ってプレゼントに昇格し、
さらに受け取った相方の与えた意思で、
ツナガリにまで昇格を果たしたわけで。

イヤもうホント、
あげてよかったです。

ありがとう。
相方ちゃん。

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モノより思い出で…。

E0890

相方がここのところ(っていうか割といつも)メチャメチャ忙しいのは十分知っていたので、
プレゼントが用意できなかったのは致し方ないことだし
、それについては全然気にしていないのだけれど、

「好きなもの買ったげるから。」

という言葉には、ちょっと寂しくなってしまったり。
 
 
 
美味しいご飯と、
いつもよりちょっと長くご一緒出来ただけで上出来です。

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プレゼント前夜

E0889

プレゼントはなにがウレシイって、
それをあげるまでのニヤニヤがイイわけで。

喜んでくれるだろうかという不安もひっくるめて、
やっぱしニヤニヤに転んでしまう気持ち。

キレイにラッピングされた箱を手にとっては、
またニヤニヤ。

ニヤニヤは日を追うごとにその濃度を増してゆき、
プレゼント前夜が最高潮となる。

子供の頃は、クリスマスといえばプレゼントをもらうことだけが
嬉しかったものだけれど、
大人のクリスマスはプレゼントをあげることがうれしい。
 
 
 
日本の聖夜は、
クリスマスという名を借りて、
多くの人が自分以外の誰かのコトを大切に想う夜だから、
きっと毎年美しいのだと思う。

…なんつってな。

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選んだカードは…

E0887

私の「命札」には、
逃げるという選択肢しかなかった。

大好きな相方がいるのだからそれは当然として、
なにが良かったって、

(いいなあ~…)

と思った女性と、
ほんの少しだけ強い縁があったことが嬉しかったのです。

たとえるなら、
陶器の展覧会を観にいって、
器の景色を眺めていたら、ふいに

「触ってみてもいいよ。」

といわれたような感覚。

「美」にちょっとだけ深く踏み込めたような。
そういうトキメキがあった。
 
 
 
そういったオトク感を胸に秘め、
もちろん足早に逃げ去りました。

だって、照れくさいし。

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キッカケのキューピッド

E0886

これは、あまりにベタすぎて、
ネタかと思われるほどの実話である。

【起】
口角に微笑をたたえ、それから発生する目元の緩みが生み出す
穏やかな表情。

前髪をおろし、後ろはキッチリとアップにしてあるヘアースタイル。

ぐちゃぐちゃの足元で、汚れる危険性を承知しながら、
敢えてチョイスされた白いコート。

なにより、
ツメ磨きに忙しいオバちゃん相手にも、
(ちょっとごめんなさい…)
としながら気づかれず、
しかたなく静々とよける仕草から醸されるたおやかさ。

どれをとっても私の琴線を爪弾(つまび)かせしめるナイスな女性だった。
 
 
 
ちなみに、
好みの条件が相方とあまり合致していないのではないかという
ご意見が予想されるが、
好みのタイプと好きになる女性が必ずしも一致しないのは、
世に舞い降りたステキな矛盾というものであり、
誰しも多少、心当たりのあるところではないだろうか。

【承】
車床に転がったペンを、
私と隣にいた二人組みのオバチャンが同時に気づいた。

「あらあ!」

と声を上げたオバチャンを横耳に、
風を切ってペンに手を伸ばす私。

ペンは、可愛さのカケラもない実用的なもので、
私もその書き味を認める一品だったため、
高感度さらにアップ。

【転】
ナンパなどはしたことがないが、
見知らぬ人に声をかけるのはニガテではない。

しかし、
こんな出来すぎたイベントはさすがに初めてだったので、
緊張というか、眉間から鼻にツンと抜けるような、
薫りたつトキメキを禁じえなかった。

【結】
幸いにも、すぐに気づいてくれた彼女が、
驚きの顔から溶けるように微笑み、

「わあ。ありがとうございます~。」

と言ってくれた。

ちょっと鼻にかかったような、
決して高くはない声が心地よい。
 
 
 
キッカケのキューピッドは、
その矢をボールペンというカタチに変えて、
私と彼女を近づけた。

どうする!?
どうすんのよ!?
オレ!!!?
 
つづ~く~!

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気持ちの消耗

E0885

メシ屋さんに入って座敷に陣取り、
相方がやたら神妙な表情で

「トシさん…」

と切り出してきたため、
一体何事かと緊張したところ、
どうしても早く出さないといけないメールがあるので、
打ってもいいかな…という話だった。

もちろん、
相方はこんなふうにメールを出すことはまず無いので、
よほど急いでいるのだろうと承諾したのですが…
 
 
 
あれは事情が分かっていても、
なかなかにキツイものですね。

なんつーか、
「気持ちが消耗する」感じ。
 
 
 
打ち終えた相方も、ぐったりしながら

「…やっぱしこういうメールはよくないね…。」

と言っていた。
 
 
 
相手のことが見えていれば、
打つほうも、打たれるほうも非常に消耗すると言うことが分かった。

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スネ女

E0884_2

「受話器の向こうからイヤなオーラが感じられるので、『沈黙』が一番怖いですね。」

宮城県:PN・エカキング

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スネ男

E0883

相方には、

「可愛いヤツめ。…と言っておこう。」

と言われました。
 
 
 
そのうちフラれるね。

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会心の一撃…?

E0882

知らぬうちに対タマゴ攻撃のスキルが上がって、
クリティカル率が上昇していた模様。

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色気倍増!(表面上)

E0879

仕草や言動までは変わらないのが、
相方スタイル。

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今年の漢字は?

E0881

今年も残すところあと半月くらいということもあって、
ぼちぼち今年一年を振り返りたくなってくる今日この頃。

皆さん、振り返っちゃってますか?
 
 
 
この時期になると、
ニュースなどで必ず取り上げられるのが、

「今年一年を象徴する漢字」

というもの。
世相を現したものとしては、

「愛」

とのことでしたが、
自分個人にとって、どんなカンジの一年だったか。
ちょっくら考えてみました。

気をつけたのは、
「流」とか「転」とか、どうとでも取れるような抽象的でないもの。
今年一年の自分限定ということ。

これが結構難しいものなのですね。
 
う~ん…。
淹れたての紅茶に浮かぶティーバッグをぼんやり眺めながら、
考えること数分。

(ああ、これだな…。)

ふと思い当たって、
平成十七年度の私を象徴する漢字が決まりました。

それは…

「載」
です。

「さい」。
「のせる」。

掲載の「載」。
連載の「載」。
過積載の「載」。
搭載の「載」。
年齢の「載」。

 
 
 
まず、「掲載」。

今年一年で、本当に多くの雑誌や書籍に掲載されました。
ざっと数えただけでも10誌以上。

ココログの公式ページにも掲載されましたし、
共同通信社さんから取材もいただき、全国の新聞にも載りました。

ブログブームということもあり、
その中でもイラストブログとして早めのスタートを切り、
目立っていたということがあったのでしょう。

少しだけ、時流に乗ったんだろうなあ…。
という客観的感想もありますが、
ブログを始めた当初は、
まさかこんなにも色々なところで取り上げられるようになるとは、
夢にも思っていませんでした。

来年以降、
ブログ界隈もまた新しい波が出てくるでしょうし、
今年ほど騒がれることも無いのだろうなあ~とは思いますが、
なにしろ貴重な経験をさせていただきました。
 
 
 
そして、
「連載」。

ブログの記事を、「一日一回」と決め、
ほぼ毎日描き続け、載せ続けたこと。

よく、

「トシさんは、よく毎日手の込んだイラスト付きの記事を描けますね。」

と言われるのですが、
ワタクシ、描くこと以外、本当に趣味が無いので、
空いてる時間はとにかく書いたり推敲したりしています。

面白いものが描けたりすると、すぐにでも載せたくなるのですが、
ぐっとガマンしてストック。
一日一更新のペースを守っております。

多少睡眠時間は削られますが、
常に4~5日分は記事をストックしてありますので、
もし描けない日があっても更新は止まらないのです。

記事を描くのはそれなりに時間も労力もかかりますが、
これは画力や文章力の向上のために、
自分に対して続けている投資であり、
精神を安定させる治療法でもあるので、
これからも続けてゆきたいと思っております。
 
 
 
そして、
「過積載」。

今年はあれもこれも全部なんとかしようと足掻いて、
結局何一つ上手くいかなかった一年でした。

仕事でも、陶器製作、陶芸教室、出張陶芸教室、石窯ピザ、
イラスト…
それに毎日のブログ更新や、結婚の話。

どれもこれもと手を伸ばしているうちに全部が中途半端になって、
いくつものコトが壊れてしまいました。

人間、欲をかき過ぎるとかえって色んなものを失ってしまいますね。

人間の手は2本しかないんです。
持つものはそれぞれの手にひとつずつ。
大事なものは両手で抱きしめるようにしないといけないんだな。

ということを実感した年でした。
 
 
 
「搭載」。

これは、能力が搭載されたということですね。

私の絵にお金を出してもいい。
と言ってくださる世間様が現れたこと。

逆に言うと、お金をいただける絵を描く能力が備わったということですね。

それも、一回コッキリではなく、
同じ企業様から、複数回仕事をいただけたということが、
報酬をもらって描く「絵描き」としてのキャリアを積めたように思えて、
大変大きな財産でした。
 
 
 
んで、
「載」。
これには「年齢」という意味もあるそうで、
そうなんですよ。

今年で私の二十代も終わりなんですね。
来年からは三十路です。

ミソジ。
いやあ、楽しみだ。

なんだか、ミソジになれば、
二十代のモヤモヤから解放されるんじゃないだろうかと、
根拠の無い望みを持っているのですがね。

多分、そんなことは無いのでしょうが、
それでもなんとなく、楽しみでしょうがありません。
 
 
 
そんなこんなで、
私の今年の漢字は

「載」

ということにしました。

皆様の「今年の漢字」はなんですか?

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平均金額

E0876

おいおい。
いくらオイラがビンボーだからって、
6,000円くらいは出せるぞ~…(トーンダウン)

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死福の時…?

E0875

当たらずも遠からず…ではないのか…?

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続・相方と雪

E0878_2

普段、走ることなどあまりない相方が、
ウチの周りに降り積もった20センチほどの雪のなか、
耐え切れずにブレイク。

好きなものに対しては、
多少の不利益も厭わないキミの生き様に乾杯。

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相方と雪

E0877

相方曰く、

「雪がモサモサ降っていると、用も無いのにコンビニまで行って、アイスを買って帰って、『寒い…!』とか言いながらワシワシ食べるのが好きー。」

なのだそうだ。

たしかに、雪がしんしんと降っている時。
フードをかぶってたたずんでいると、
耳が圧迫されるような静寂のなかに
パサパサという雪の降り積もる音。

まるで、白濁した液体の中にいるような感覚。
すこしさみしい懐かしさのような。
 
 
 
ともすれば孤独のような場所なのに、
傍にいる人の声だけがやけに澄んで聞こえることが、
お互いをつなぐ何かがハッキリ見えるようで、
とてもウレシイものなのですよね。

キミとの感じ方は違うかもしれないが、
私はこんな感覚で、好きです。

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血脈の優先順位

E0873

「お姉様はね!弟や妹ごときに負けるわけがないの!」

というのが信念である、一番上の姉。

たしかに、幼い頃からそういう教育を刷り込まれている
我々弟妹連中は、人数や体格に関係なく、

「姉には勝てない…。」

という心理的施錠が成されている。
 
 
特に私など、
3人も姉がいて、
ごく身近に、頭の上がらない女性が母を含めて4人もいることになる。

相方は、厳密に言うと年下なのだが(2ヶ月ほどだが)、
彼女は長女なのだ。

「長女」と聞くだけで反射的に隷従してしまう悲しい習性の持ち主としては、この期に及んでも頭の上がらない女性が一人増えたということであり、非常にギャフン。


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「このブログがすごい!2006」の制作に参加しましたよ。

Konoblog

12月16日発売の「このブログがすごい!2006」制作に、
イラスト担当として参加しましたよ~。

お話があったのは11月の初旬。
編集主幹のオカベさんから依頼打診をいただきました。

「このブログがすごい!」
といえば、去年、初めてウチのサイトが紹介された書籍。
あの頃は掲載されるというそれだけで舞い上がるような気持ちだったのに、あれからたった一年で、今年は外部スタッフとして制作に参加することになろうとは…月日の流れというか、縁の流れの不思議さに、感慨を深くしたのだった。
 
 
 
さっそく翌日から、
オカベさんと電話やメールでの打ち合わせが始まった。

テーマは、
「一目で『コレがブログの面白みだ!』と訴えかけるもの。」

仕事の流れとして、
始めにラフを提出し、大体の方向性を決める。
言ってしまえばこのラフが仕事のほとんどであり、
「創意」が決まってしまえば案外作業は早い。

しかし、今回の仕事はその「創意」がなかなか決まらなかった。

E08741

私の絵は技術ウンヌンよりも表現の面白みと躍動感が売りなので、
それらを生かして目を引き、なおかつ万人に意味を伝え、興味を抱かせなければならない。

表紙というのは、その本を手にとってもらえるかもらえないかの瀬戸際であり、書籍の最前線なのだと思う。

いつもだと主線まで引いてラフ提出しているのですが、
なかなかに決まらない上に時間がかかってしまうので、
今回は下書きでのラフ連発となった。

来る日も来る日もメール、電話、ラフ。
まさに「ああでもないこうでもない…。」の繰り返し。

いつもの「言戯」イラストはまったく一人の仕事だし、
その他の仕事絵も、担当の方と2~3やり取りをして決まってしまうパターンがほとんどだったので、これだけ多くの意見をぶつけ合ったのは初めてだった。

妥協を許さないオカベさんに、

(ああ、これが本を作る凄みなのだな・・。)

と感心し、それを求められている自分が誇りに思え、嬉しかった。
非常に貴重な経験を積んでいるという手ごたえ、実感がある。

E08743

そんなやり取りが続いて、ついにラフが決まった。
私の出した案を土台に、デザイナーさんと編集部の方の意見を統合した案が採用される。
打ち合わせ開始から6日目のことだった。

ちなみに、

「表紙の驚いている人のところには、寿さんと相方さんを持ってきましょう!」

というアイディアはオカベさんのものである。
私と相方を知ってる人なんて、『言戯』の読者さんくらいのマイナーキャラなのに、いいのだろうか…?
と、かえってこちらの方が気を使ってしまった。

とにかくラフが決まった。
あとは作業だけである。
今回の仕事は2/3を過ぎたな~…。

…と思ったその時。

「ひとつ、思いついたのですが…」

と、オカベさんの一言。

「表紙を開いたところに『本トビラ』というところがあるんですけど、ここにもモノクロのイラスト入れてみましょう!」

ということになった。

けっこう、有無を言わさぬ勢いだった。(笑)
んもう、オカベさんたら、ゴ・ウ・イ・ン。

ちなみに、『本トビラ』というのは表紙をめくってすぐのページ。
そこに表紙の続き、「オチ」を入れようというアイディアである。

んん!
なるほど、それは面白い。

あれだけ手こずった創意も、
根っこが決まると意外に後は楽なもので、
私もノリノリで承諾した。

その日のうちに表紙をアップ、納品。
翌日に「本トビラ」イラストを納品した。

ともあれ、終わった~…。
と肩の荷に手をかけたその時。
再びオカベさんからメールが。

E08742


「裏表紙にカラーイラストを追加して、さらに章ごとのトビラにもモノクロイラストを追加してみませんか!?」

という。
メールの文面からほくそ笑むオカベさんの顔が見えるようだった。

要するに、表紙から裏表紙にかけて、
ネコとネズミが大暴れする本にすると、きっと面白いでしょう!!

ということである。

(いや~…このヒト、本作るの楽しくて仕方が無いんだろうなあ~…)

と苦笑いしつつ、
もちろん私も楽しくなってしまって、
自分の中に生まれたネコとネズミ(密かにジェムとトリーと名づけた)を、本の中に放してやることにしたのだった。
  
 
 
そうして、すべての納品が終わった。
当初、「表紙イラスト1点」という注文は、
お茶目な編集者とノンキなイラストレーターの化学変化により
カラーイラスト2点、モノクロイラスト5点となった。

図らずも書籍丸ごと一冊分のイラストを担当出来たというのは
自分のなかでもかなり貴重で楽しい経験だったし、
実績という自信にもつながりました。

宝島社さんありがとう!
オカベさんありがとうございました!

出来ればまたイラストのご用命がありましたらお声掛け下さい!
(↑営業)
 
 
 
というわけで、
ネコとネズミが暴れまわる
(私と相方もちょこっと出てる)

「このブログがすごい!2006」!

12月16日発売です!
是非是非書店で手にとって、最寄のレジまでご同伴くださいませ~。

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記憶力よいずこへ

E0863

母さん。

ボクの記憶力はいったいどこへ行ったのですか…?

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ボーイ・ミーツ・スーツ【その4】

E0870

いよいよ視覚的、経済的に最も合致した一着を選択し、
スソ上げを依頼する。

以前にも書いたのですが、この「スソ上げ」というのはなんとも気恥ずかしさが付きまとう。

作業に必要な体勢とはいえ、
どう転んでも相手にひざまずかれているようで、
非常に居心地が悪い。

しかも、紳士服の場合はそうなのかもしれないけれど、
この店員さんは私の右足に両腕を巻きつけるようにして計るものだから、なんだかまるですがりつかれているような格好になってしまった。

申し訳ないやら、
居たたまれないやら、
くすぐったいやら、
そんな想像をしている自分が可笑しいやらで、
笑いをかみ殺すのに非常な苦労を強いられた。

足元に、しかも男性にすがりつかれるなんて、
(すがり付いてるわけではないんだけど。)
こういう機会を除いてはまずありえないだろう。

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ボーイ・ミーツ・スーツ【その3】

E0869

なにやら店員さんの話では、
最近のスーツにおける流行りのカタチは、
全体に細身であらゆる部位の丈が短いものなのだそうだ。

勧められるまま実際に着てみたところ、
確かにワキの締まり方はスッキリしていてカッコイイ。

…がしかし、
ソデやスソが妙に短いのがどうにも気になる。

パッツンパッツンのツンツルテン感が拭えない。
(飽くまでも個人的感想ですが。)

この足りない生地を、「流行り」という言葉で無理やり覆っているような感じさえする。
そもそも流行りというものは、
多くが消費を促進させるために、
誰かが作為的に立てた波風ではないのだろうか…

などとポツポツ思っていたところに、兄の一言。

「コレ、流行が終わったら着れねえだろ。」

ああ、なるほど。
それなんだ。

我が意を得たり。
にいちゃん、さすが。

しかしいつも不思議なのは、
兄はこうやって一見傍若無人な放言を連発するのに、
なぜか年下に慕われ、年長者に可愛がられる。

不思議な人徳の持ち主である。

店員さんは戸惑っていたが。

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ボーイ・ミーツ・スーツ【その2】

E0868

特にスーツなど、
世間に浸透しきっていて、
その知識は一般常識としてとらえられているものなどに、
後から参入しようというのは意外に困難が付きまとう。

それは、

「なにが分からないのかが分からない。」
という取っ掛かりの壁である。

「今さら聞けない」
類の事項とも言える。
 
 
 
知識というものは力であり、武器である。

「知らない、知らなかった」
で済まされるのはよくて未成年までであり、
大人の「知らなかった」は、すなわち本人の過失に他ならない。

だから、スーツなどの大人の持ち物には、
懇切丁寧な説明など添えられていないのがほとんどなのだ。

服屋さんなどにおいて、
店員あしらいが何よりもニガテという理由はそこにある。
服飾に関する関心が薄く、
知識に乏しい自分では、
知識、技術に特化したプロに太刀打ちできないことが容易に予想できる。

丸腰マルハダカで甲冑に大小を下げた武士につかみかかるようなものだ。
いいようにナマス斬りの憂き目に遭うだろう。
 
 
 
というわけで、
兄という名の用心棒に同行をお願いしたわけだが、

「何が分からないのか分からない。」

という相手にはさすがの用心棒もアキレ顔を禁じえなかったらしい。

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ボーイ・ミーツ・スーツ

E0867


今まで必要とすることがなかったので持っていなかったのだが、
やはりこの期に及んで必要になってきたということもあり、
ついにスーツを購入する決意を固めた。

29歳にして、
遅まきながらのスーツデビューである。
 
 
 
やや冷たい空気が、
忙しい人々を乗せたテールランプをにじませる遅めの夕方。

近頃オープンしたという某紳士服チェーン店に踏み込んだ。

スーツはおろか衣服全般、
「着れればなんでもいい。」
という私だけでは購入は絶望的との判断から、
買い物上手な兄に同行を依頼して、ツートップでの入店である。
 
 
 
店内は、オープンしたてという割には購買客も少なく、
スーツ姿の店員さんたちがカツカツと回遊していた。

我々の入店を認めると、
店内に明らかな緊張が走った。
いたるところから発生する

「いらっしゃいませえ!」

の声。

店員さんの意識がこちらを凝視しているのがありありと窺える。
かえって、視線をまったく合わせられないのが不気味だった。

もちろん、向こうも商売だというのは重々承知しているのだけれど、
こういう雰囲気は本当にニガテ極まりない。

有機的な値踏みの目が全身にまとわりつくようで、
セールストークをねじ込むタイミングを虎視眈々と狙われているのがピリピリと感じられるからだ。

買い物とは、アウェイである。
相手の陣地に乗り込み、
万全の準備を携えた人間を相手にしなければならない。

最終的な判断権はこちらにあるとはいえ、
明らかな不利が、生理的な警告信号を発生させる。
 
買い物をする時というのは、精神に鳴り響く
そういった「警告信号」を、懸命に無視しなければならない。

それが、「買い物嫌い」の最たるものとして染み付いているのだ。

(あああ…もう、帰りたい…。)

内心すでに折れかかっている。
しかし、スーツは買わねばならない。
…もう帰りたい。
でも買わなきゃならない…。

そんな葛藤を抱えながら、兄の後ろをヒョコヒョコとついて回っていた。
 
 
 
その時である。

兄が、とんでもないことを言い出した。

「あ、ちょっとオレ便所行ってくるわ。おめえ、その辺見とけ。」

さっさとトイレに消える兄。

(ええええええ!?)

取り残される私。
 
「ミテロ」と言われましても、
全然何がどうなのかサッパリわからない。

仕方がないので、「見てろ」という指示を鵜呑みにすることにして、
多分買いはしないであろうジャケットをうつむくように眺めていた。

周囲には、用心棒が離れたことを察知した肉食獣(店員さん)が、
早くも3人。
さりげなく取り囲むようににじり寄っている。

(ふおおおお…!)

緊張の赤と、恐怖の青が入り混じった顔色。
ヒタイからは紫の汗。

あきらかに、弱肉強食で言えば向こうが「強食」。
当方「弱肉」。

本来植物に生まれるハズだったのに、
間違えて人間などに生まれてしまった自分など、
彼らの目には美味しすぎる獲物に映るのだろう。

(話しかけないでください…!)

のオーラを発し続けながら、
徐々に店の隅に退却する私。

次第に囲みを狭めてくる店員さん。

この時ほど、トイレの案内表示のカップルが恨めしく映ったことはなかった。

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兄の言葉

E0865

本人にはそんなつもりなど無く、
何気なくこぼした言葉にこそ、
より強く心を打ち響かせる力が宿る。

自分が褒められた時よりもはるかに嬉しかったこの言葉は、
無数に交わした兄との会話の中でも、
おそらく生涯記憶に残るそれになるだろう。

素敵だぞ!
あんちゃん!

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鳥獣戯画

E0864


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体音(たいおん)

E0862

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