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ラップに謝れ

E1976

詰め替えの洗濯洗剤に並んで高い至れり尽くせり指数を誇るのが、
ラップである。

素人目にパッと見しただけでも、
切り口の緩やかなV字カットによるラップ切断を円滑化。
箱にラップが密着するのを防ぐタブ、
巻き戻りを防ぐための弱性接着剤塗布など、
ラップをスムースに引き出し、パリっと切り取るために、
ラップにはさまざまな工夫が施されている。

しかしですね、ラップを使っていて何が一番困るって、「巻き戻り」。
ラップ芯が逆回転して、張り付いてしまうアレです。
いまや大体のラップには巻き戻りを防止するさまざまな配慮が為されているのに、
どういうわけか気がつくと巻き戻ってしまっている。

ラップ巻き戻りの復帰作業はつらい。
まず、定石として端っこを見つける。
ツメでカリカリして、なんとかめくりあげる。
そこから慎重に斜め方向へと剥離を開始すると、必ずといっていいほど途中から縦に裂ける。
(う…!)と思いつつ、気を取り直して新たに出現した角を同じようにペリペリ。
斜めにペリリ。ピリ(縦裂け音)。
大体3ペリピリあたりから、コメカミに血液がのぼり始める。
平常心をからくも維持しつつ端まで到達するも、引き出し部分は前衛的なノレンのような状態になっている。
ここから群雄割拠の縦裂け群を糾合し、統一せしめて現状復帰を目指すわけだが、
一度縦に裂けたラップはどんどん裂傷部を拡大させ、時には一周し、
横方面統合のみであったはずの問題は、縦部分にまで拡大波及することとなる。
こうなるともう、こちらとしてもナリフリかまっていられなくってきて、
角をつまんで、横に強く寄せるという強硬手段に打って出る。
取り出し部分はヨレヨレになり、使用不能となるが、その犠牲の上に横部分の統一が図れるはずだ。
しかし、ラップは伸びに強い。
強じんと言っていいほどの伸びを見せ、縦裂けとビヨビヨに伸びた引き出し部分はますます混迷の度合いを増してくる。
物事は横車を押しても、好転することは少ないのだということを再認識する。

このあたりまで来ると、本気で(新しいのを出すか…?)という諦観が頭をよぎる。
そして、ラップおよびメーカーに対しての怒りが湧き上がってくる。
もちろん、自分の落ち度は華麗にレイアップシュートした上での逆恨みだ。
どういうわけか、巻き戻り復帰が難しいという「弱点」を発見したような気分になり、
それが使いやすさを追求したがゆえに生まれた逆説的矛盾に映ったりして、非生産的加虐心はドラスティックに燃え上がりつつ、ゼロ視点からマイナス部を見下ろした差額が己の報酬になるような、カラ売り的負方向への快感に酔いしれるのだ!

…などと一人盛り上がりつつ、なにげなく箱を眺めてみたところ…

E19762

巻き戻り時からの復帰方法が書いてありました。
しかも、これまでの自分のやり方は最大の禁忌だったという事実。
そうなのだ。
これだけの至れり尽くせりを誇るラップが、己の弱点を放置しておくわけなどない。
ラップからの誠意に対する無理解が自らの視界を歪ませ、
メーカーに対する怒りは、鏡に映った自分の愚かさへの憤りであったことに気づかされたのであった。

というわけで、手間ひまをそれなりにかけつつ、どうにかラップを現状復帰させたのですが、メーカー推奨の手順だと、本当にスンナリと直るものなのだろうかというのがどうしても気になったので、わざわざもう一度巻き戻り状態にし、テープによる復帰方法を試してみようと思ったところ、肝心のテープをどこにしまったか忘れてしまい、ラップ復帰に加えてテープ捜索にまで時間を費やすこととなりました。

たまに、自分の軽率と迂闊さが、狂おしいほど愛おしく思えてきます。

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