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占有対処

E1070

夫婦が一緒に包まって眠る布団が、
寝返りの弾みに片方に寄ってしまうのはよくある話。

さて、そこでの対処法である。

まず、前提として、
諦めてはならない。
なぜなら寒い。

なんとかして、
あの魅惑の蓄断熱材を取り戻さなければならない。

問題は、その方法である。
モノには言い方があるように、
布団には取り返し方がある。

第一に思いつくのは、
本来あるべき位置に戻す。
すなわち、布団を引っ張るということだ。

それは、
一見、もっとも合理的で理屈に合った対処法のように思えるが、
一概にそうとも言えない。

何故なら、その行動には、
(返せよな。)的トゲが見え隠れする。
そう取られる危険性がある。

人間は、たとえ理性では分かっていても、
今この瞬間、自分が占有していたものを、
突然奪い去られることに、生理的不快感を覚える。
それは、自分の身に置き換えてみても想像に難くない。
 
 
 
では、事情を説明して、
相手の納得と了承を得てから返却願うというのはどうか。

それは下策である。
さらなる事態の悪化をさし招く危険性を孕んでいる。

もし、自分が寝ているときに突然揺り起こされ、

「ねえ、布団がさ。そっちに寄ってしまっているんだよ。言うまでもないことだけれど、この布団は我々二人の共有財産だよね?したがって、僕にも包まる権利があると思うんだ。君だって、一緒に寝ていて、自分の過失で配偶者が風邪症候群を発症したら寝覚めが悪いだろう?モノがフトンだけに。ハハハ。どう?今の面白かった?基。だからね、すなわち結論として何が訴えたいかと言うと、フトン引っ張るよ?」

と論理的に諭されたとしたら、
納得と了承を勝ち得ることができても、
おそらく感情的怨恨を残すに違いない。
 
 
 
そこで第三案として、

『汝、欲するならば、まず与えよ。』

作戦を発案した。

つまり、布団だけでなく、相手に全てあげてしまうのだ。
全てとはわが身だ。

全身、余すところ無く委ねるのだ。

そうすればどうだ。
まず布団は獲得できる。
加えて、それまで先方が蓄えていた熱の恩恵にも与れる。
あまつさえ、不意に密着することで、
自然に無理なく夫婦間のスキンシップが図れ、
夫婦生活をより円滑に、豊かなものに出来る。

素晴らしい。
まったく、見渡す限り一点の曇りも死角も無い作戦である。

私はまどろみにぼやけた脳みそでそんなことを考えつつ、
相方にすがりついて寝た。

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