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階段の向こうがわ

E0907

先日、ワタクシの干支、辰の守り本尊であらせられる
「普賢菩薩」に年始のご挨拶をすんべと、
愛宕(あたご)神社というところに行きました。

仙台の街中、
青葉城址の近くにある由緒正しい神社である。

初詣参拝用に整備された臨時駐車場にクルマを止めて、
神社特有の清々とした空気を吸い込む。

鳥居の傍には、大きく
「虚空蔵菩薩」
の文字。

…アレ?

ネットの情報では「普賢菩薩」を祀ってあるところだと聞いたのだが…。
「虚空蔵菩薩」といえば、干支でいう丑・寅の守り本尊。
近いことは近いが、それはこの際関係ないような気がする。

アテが外れたことに少しガッカリしながらも、
高台に向かって伸びる階段の横に設置されていた看板を調べる。

すると、
どうやらここには「十二支八角堂」というものがあり、
その中に「普賢菩薩」が祀られているらしいことが分かった。

ああ、よかった。
来た甲斐があった。

本懐を遂げるべく、
境内に向かって階段を昇りはじめた。
 
 
 
最近、神社、仏閣というものが心地よく感じるようになった。
自然のなかにたたずんでいることが多いというのもあるだろうけど、

清々とした空気に、
知識が無いながらもなんとなく感じる様式美。
ピンと張り詰めた静寂。

とても落ち着く雰囲気がある。

階段をいつものように一段飛ばしで昇りはじめて、
なんとなくそうやって省略することが失礼に思えて、
一段一段、踏みしめるように昇ることにするという、
妙に細かいところばかり謙虚な心持ちになってしまうのだ。
 
 
 
そうして、自分なりに謙虚な気持ちで階段を昇る。

階段を昇るのは楽しい。
特に急な階段は良い。

階段を昇りきった時に、
目の前に広がる景色がどんなものなのか、
とてもワクワクする。

足にありえないほどの乳酸がたまり、
だんだんと昇段がつらく、
億劫になってくる。

ワクワクよりも、
ヘトヘトの割合が大きくなってくる。

ワクワクヘトヘトが、
ワクヘトヘトヘトになってきた。

ついに、足をまっすぐ持ち上げるための大腿四頭筋のリーダー格とも言うべき大腿直筋が鈍い痛みとカッとした熱をもって抗議とし、その活動を停止させた。

しかし、
途中で立ち止まるのは悔しい上に恥ずかしい。
日頃の運動不足をなんとしても認めたくない。

それに、
これしきの試練に打ち勝てぬようでは、
ご利益が望めないような気さえしてくる。

止まれない。
止まっちゃいけない。

不甲斐ない大腿直筋に代わって、
「オレに任せろ!」
とばかりに名乗りを上げたのが外側広筋だ。

まっすぐ上げられないのなら、
横から迂回しようという作戦だ。

なるほど、そうすることにより、
ノンストップでの残り3分の1昇段が可能になった。

しかし、外側広筋の活躍とはすなわち、
内股歩行の遂行を余儀なくされるという意味を孕んでいるのだが、
そのことに気づいたのは今になってからである。

そういった、内なるスペクタクル、
友情物語のようなものがありながら、
とにもかくにも境内に到着した。

肩で息をしながら八角堂に歩み寄り、
「普賢菩薩」の像の前に立つ。

賽銭箱に100円玉を二つ投入。
同じ辰年生まれの相方の守り本尊も私と同じであるため、
二人分のご挨拶をした。
 
 
 
すこし休憩がてら、愛宕神社の境内を見て回る。
愛宕神社に行ったことのある方はご存知かと思いますが、
あそこは結構な高台にあるのですね。

お堂の横は木々の間からガバリと視界が開けて、
眼下に広瀬川のゆったりとした流れ、
その向こうには仙台の街並みが広がる。

視界の端に映る木々と柵が景色を額のように縁取り、
ボッカリと開いた空間の向こうには
有機的な自然の緑。

そこから無機質な人工の建物が幾何学模様のように
ビルビルと林立している。

冬の澄んだ空気がこちら側の静寂と、
向こう側の道路を走るクルマ、
クルマのスタッドレスタイヤの音が
混ざり合うことなく、別の世界の出来事のようだった。

それは一幅の絵画・・・というより、
人の世を俯瞰している何者かの景色を垣間見たような・・・

清涼な違和感と、視界が滲むようなひとりぼっちを感じた。
 
 
 
「こういう景色は一人で見るものではないかもな…。」

と少し後悔しつつ、階段を降りる。
喧騒がすこしずつ音量を上げ、
人の世にもどってきたような安堵を感じる。

たまらなく、
相方とラーメンを食べに行きたい。

とどのつまり、私の神社、仏閣探訪は今のところ、
人間としてのシヤワセを再認識するためのものなのだろう。

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