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テーブルの吸引力

E0751

普段、私は自室にテーブルを置かないようにしている。

部屋がさほど広くないため、
テーブルを置いてしまうと大変邪魔になるという理由も大きいのだけれど、
最たる理由は別にあった。
 
 
 
つい先日。
書類や手紙を書くのに、手ごろな台が見当たらなかったため、
部屋の片隅に立てかけておいたテーブルを引っ張りだしてきて、
ついうっかり片付かないままでかけてしまったのだった。
 
 
 
そして、その日の夜。
そろそろ寝ようかという段になって、私は愕然とした。

今日の昼間に出したばかりのテーブルの上に、すでにモノが山積していたのだ。

本に湯飲みにラジオ、紙くずになぜか鉄アレイまでがテーブルの上に累々と横たわっている。

この部屋に入るのは、もちろん私だけであり、
これらのモノを置いたのも、当然すべて自分だということになる。

なるほどよく記憶を手繰ってみれば、たしかに自分が置いたものばかりだ。

その時、ようやく己の不覚に気づいた。

そうだ。
自分がテーブルを出さなかったのは、知らぬ間にテーブル上にモノがうず高く詰まれてゆき、ついに臨界点を突破したそれらが引き起こす、凄惨かつやり場のない憤りを孕む事故を未然に防ぐためだったのだ。
  
 
 
テーブルという存在が、モノを置くために生まれたものである以上、その標高、面積、たたずまいは、モノを置かれるべく計算しつくされている。

しかしその目的は、人間の怠惰あるいは横着、または一時保留という抗いがたい負の感情とあいまって、強大な吸引力を発揮してしまうことになるのだ。

ただ、そこにあるだけで、
モノを吸着してゆくテーブル。

『テーブルの吸引力』

に私は戦慄による悪寒を禁じえず、すぐさま再び
テーブルを部屋の片隅に立てかけ追いやったのだった。

テーブル、恐るべし。

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